2月29日(日) 曇

網野善彦氏・藤沢令夫氏・伴野朗氏など訃報が相次ぐ。

買った本。杉森久英『戦後文壇覚え書』(河出書房新社,800円)@藤井書店。「文藝」編集長時代の回想。注文した本。大村彦次郎『文壇栄華物語』(筑摩書房,1500円)@Amazon。

恋猫にひきつづき悩ませられている。今日も仕事。

2月27日(金) 晴  春の恋猫 N・Tさんへ捧ぐ

日に日に春めいていくのが唯一の救い。西荻窪の閑静な住宅街にはもう梅がちらほら。我が家の仔猫も春が悩ましいのか,深夜さかんにベランダと部屋を行き来しては,やや甲高い声で鳴いてしきりになにかを訴えている。己のなかの太古からの暗い欲動に我とわが身を苛んでいるのか,汝,一匹の猫よ。リルケ『ドゥイノ悲歌』第四歌か,オイオイ。

(夜追記)

なんて戯言いってる場合じゃないよ。某猫系サイトより引用。

発情期の特徴・メス ・甲高い声で鳴く ・床や人などに体をこすりつける ・しっぽの付け根を触るとお尻を高くあげる ・排尿の回数が増える ・外陰部をなめる ・食欲がなくなる

おやおや,生後8ヶ月なのにもう大人のおんな,じゃなかった成猫なのか!今夜はとくに発情がはげしく,このわたしが背中をさすってやると,上にあげたような振る舞いをするのには驚いた。私もまあ,ふたりのボンクラ息子があるくらいだから,ことの事情は存じ上げている。だが,最近やっとなついてくれた仔猫のそれには些か面食らった。思い起こせば36年前,小学生のわたしは一匹の雌猫を飼っていて,寒い冬の夜など布団にはいってくる猫と同衾していたものだが,さすがに発情の機微なぞ知る由もなく,というか当時の田舎の一軒家のことだから,そとに出る方法はいくらでもあったわけで,春の夜など漆黒のの帳のかげで,太古よりの欲動につきうごかされたこともあったのだろう。青い眼のおしゃまな猫だったが,妊娠し,仔猫を五匹産んだように憶えている。こんなことを,とうにその猫の亡いこの夜に,あえてツラツラ書くのも,その猫の追慕のこともあるが,田舎の一家庭のささやかな幸せを支えてくれた父母のことも称揚したいとおもって書くのである。恋猫にかこつけて,わが父母と,今月弊社を円満退職されたN・Tさんにオマージュささげるという芸当を,チマチマやってみようという魂胆。ごめんね,N・Tさん。

 それにしても痛ましい発情だ。排尿が増えるとあるが,その通り。どうも粗相が多くて家人はみな困っている。

由里葉さんより,shigeyukiさんの『Seaside Junk Foods』というサイトをご紹介いただく。海洋文学,画家まりの・るうにいのコーナーなど充実した読書サイト。 http://www.h3.dion.ne.jp/~saho6/index.htm

2月25日(水) 

ゼンハイザーのヘッドフォン着。YAMAHAのYH-100という往年の名機を20年もの間ずっと使ってきたので,音圧の高さに些か面食らった。ま,ともかくこれからまた20年くらい使ってゆくのだらう。それまで生きているのかどうか・・・。こういう想念は暗い。

繁忙な日々,昼休みは西荻窪へ。音羽館の店頭に粕谷さんの『面白きこともなき・・・』はすでになし。ごめんね,Iさん。

西田 光弘『1人ビジネスであなたも年収1000万円稼げる!』(800円)@Amazonなんて本も買った。近日着予定。

2月24日(火) 

大村彦次郎『文壇挽歌物語』(筑摩書房,1000円)@藤井書店。岡崎京子『うたかたの日々』(宝島社,800円)着。絵のタッチは好みではないのだけど,ま,狐氏のお薦めなので読んでみようか。ボリス・ヴィアン『日々の泡』L'ecume des jours の漫画化の由。石光真清『城下の人』『曠野の花』『望郷の歌』『誰のために』(中公文庫,1020円)@BookStation吉祥寺。

ゼンハイザーのHeadphone10100円はYahoo!オークションで。明日届く。

 

2月22日(日) 

山本善行『関西赤貧古本道』(新潮選書,700円)をブックス・ルーエで購入。どうもこう,病膏肓に入るというか,同病相哀れむ,というか,そんな風に読んでしまう。それにしても,たいしたものですなあ。私など,岩波文庫以外の絶版文庫にはさして関心がないのだけど,山本文庫や手帖文庫の魅力を滔々と語られると,つい引き込まれてしまう。

昨晩仕事の帰り西荻窪に立ち寄り,音羽館で,『吉行淳之介自選作品』2〜5(潮出版社,各100円),1のみ欠けているがどこかにあるだろう。吉行淳之介もまた,狐氏の推奨するところである。ついでに,息子たちのために,星新一『きまぐれロボット』『地球から来た男』『ちぐはぐな部品』(角川文庫,各100円)も拾っておく。

Amazonからも続々と本が届き,新着本山積み状態(笑)。今日も仕事で吉祥寺にゆくが,引き続き音羽館で粕谷一希『面白きこともなき世を面白く』を,旧友 Iさんのために確保しておこう。

2月21日(土) 曇り

狐『水曜日は狐の書評』を読む。上手い。相当の手だれと見た。マンガ家岡崎京子を激賞しているので,ついついAmazonで『うたかたの日々』(800円)を衝動買い。そういえば,山本善行さんの新潮新書『関西赤貧古本道』もでたな。sumus中公文庫特集号で楽しませていただいたので,買わねばなるまい。

今日も残務整理だ。高野台→荻窪→西荻窪というルートでも辿っていこう。

http://homepage2.nifty.com/bookbookbook/index.htm ☆狐の書評のファンサイト

そういえば昨日は吉祥寺BookOffで公務員試験やSPIの本をごっそり3500円分。経費で落とすつもり。職場でもBookOff通として一目置かれている(笑)

2月20日(金) 晴 A day in the life

仕事がスランプだ。なんとか脱却しようと,涙ぐましくAmazonで本を激買いしまくってる。日刊ゲンダイ匿名コラム『水曜日は狐の書評』(ちくま文庫,880円),市川紳一『勉強法が変わる本』(岩波ジュニア新書,780円),岡本浩一『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(PHP新書,680円)の3冊は届いた。未着は,涌井良幸『Excelで学ぶ統計解析―統計学理論をExcelでシミュレーションすれば、 視覚的に理解できる』 (ナツメ社,2500円),市川紳一『学ぶ意欲の心理学』(720円),山本義隆『新・物理入門〈物理IB・II〉』(駿台文庫,1068円)。教育心理学・認知科学関連の本が多いのは,最近の研究課題による。

昼休み,ふらりと西荻窪へ。音羽館の店頭本は相変わらず濃い。(なにしろ岡崎さんに至っては稲垣足穂の稀こう本まで拾っておられるほどだ)粕谷一希『対比列伝 戦後人物像を再構築する』(新潮社,100円)をみつけてホクホク買ったら,なんと著者献呈本だった。他にも,同『面白きこともなき世を面白く』も著者サイン入り,吉行淳之介の幻の名作『焔の中』の収まった選集のバラ四巻分,吉行淳之介の単行本数冊,西東三鬼の『神戸・続神戸・俳愚伝』の収まった本など,実にいろいろあったのだが,なんとなく買わなかったのは,小生の気分が例によって鬱々と楽しまなかったことによる。他意はない。

KENWOODのCDプレーヤをYahoo!のオークションにて4600円,これも着まち。

夕方から自宅そばのS校へ。

2月17日(火) 

下で,岡崎さんと吉祥寺でニアミス云々ってかいたばかりだが,今日昼休み,りぶる・りべろで,さっそく岡崎さんとパタリとお会いしたのはうれしかった。気分がよければご挨拶してサインのひとつでも頂戴するところだが,生憎気分はウツウツ,目は老眼,頭はボロボロの日々なので,そうしたこともせずお別れしたのは悲しかった。とはいえ,写真そのまんまの風貌で,めぐり合ったのはなにかの僥倖か。

僥倖・・・。目がやられて本を読むのもえらく骨がおれ,仕事もウツウツ。碌な毎日ではない。ま,猫に幸福招来を託して毎日可愛がっているところだ。

日曜は長男を連れて荻窪サイクリング行。BookOffにて,『平成15年版 岩波判例基本六法』(950円)は息子のため。その後,ささま書店でも,稲垣足穂『絵本 逆流のエロス』限定350冊通し番号タルホ落款つき,鋼鉄製の表紙に驚き,手にとって楽しむも12000円では手が届かぬ。小沼丹『村のエトランジェ』(20000円?)も同様。結局,川島誠『800』(角川文庫,100円)は息子のため。それだけ。

今晩は,YES "FRAGILE"(Atlantic,1850円くらい)はRemaster版CD。アマゾンのアフィリエイトで1年半で1500円ほど稼がせていただいたので(笑),ギフト券で清算し約400円で購入と相成った。

2月14日(土) 

朝,アマゾンでArthur Hughes"Testing for Language Teachers (Cambridge Language Teaching Librar y)"(2803円)を買う。昨日久しぶりに地元石神井の校舎を訪れ,英単語暗記の講座を見学したのがこの本を買うはずみとなった。訳書(静 哲人訳『英語のテストはこう作る』(研究社)もあるが,今回は原書に挑戦。

朝方,ぼ〜っとネットを散策していると,たまたま彷書月刊のHPにたどり着き,岡崎武志さんの『均一小僧の古本購入日誌』を延々と読んだ。なんか得した気分(笑)それにしても吉祥寺のBをはじめとした各店,西荻窪界隈などけっこうわたしと同じところを歩いておられますなあ。ニアミスしてるかも。音羽館店頭均一本から,図書館印有とはいえ稲垣足穂『天体嗜好症』(昭和3年)を拾い出すあたり神業といわざるをえない。

 

2月13日(金) 晴 病床読書日記

寒夜のなかを自転車で帰宅する毎日が続いたせいか,インフルエンザに罹ってしまった。次男のクラスで蔓延していたそれが,いまは我が家でも猛威を揮っている。この数日,終日布団に入って,爆睡したり,病床で本を読んだりしていると,窓からみえる風景のなんとうららかでのんびりとしていることよ。日頃,時間に追われ,ギスギスした生活をおくっている身でも,こうしていったんそうした喧騒から滑り落ちてみると,それはそれで静謐な喜びもあるのだった。

実は日曜日は,I君のお誘いもあって,練馬から足立区綾瀬のデカダン文庫まで,ふたりでドライブしてきたのだった。そこで買った本。中野重治『わが国わが国びと』(新潮社,昭和50年,500円),臼井吉見『「展望」或る編集者の戦後』(創世記,昭和52年,500円),一色次郎『青幻記 海の聖童女』(集団形声,500円),川崎長太郎『抹香町 路傍』(講談社文芸文庫,300円)。彼からは,G・グリーン『権力と栄光』(新潮文庫,復刊)をいただき,横山秀夫『看守眼』も貸してもらった。翌日は,吉祥寺りぶる・りべろにて中野重治『春夏秋冬』(筑摩書房,昭和43年,500円),ほかに,『ムンク』『ブリューゲル』(新潮美術文庫,各100円)@BookOff。

病床で,これらの本や,『親切な物理』などの物理本をかじったことであった。今日からまた仕事。

2月8日(日) 快晴

山本義隆『磁力と重力の発見』について,偶然にも,昨日のほぼ同じころ,ネット書友由里葉さんも書いていらっしゃる。こちらです

日経朝刊読書欄から。濱田研吾『徳川夢声と出会った』(晶文社,2000円)。まだお若い濱田氏は,大学生のころ夢声と出会い,以来約十年夢声を追い続けているという。お宝は京都の古書市で手に入れた全101枚組の『宮本武蔵』の朗読レコード。(これって今新潮社のCDで全77枚組228,000円で手に入るんですよね。https://ssweb.ne.jp/musashi/musashi.html ) 内田青蔵『同潤会に学べ』(王国社,1900円)。「モダンで評価の高かった各地の同潤会アパートメントは築後60−70年を経て,ほぼすべて解体されてしまった。保存がかなわなかった建物に代わって,同潤会の先進的な思想を詳細に記録した」

買った本。(性懲りもなくよく買うよ) ギッシング『南イタリア周遊記』(岩波文庫,200円),松本清張『真贋の森』(中公文庫,100円)@ささま書店。勢古浩爾『ぶざまな人生』(洋泉社新書,250円),和久峻三『民法おもしろ事典』『刑法おもしろ事典』『憲法おもしろ事典』(中公文庫,各100円)は,長男の為。

2月7日(土) 快晴 磁力と重力の発見

2月2日付日経新聞文化面「文化往来」。山本義隆氏の大著『磁力と重力の発見』(全三巻,みすず書房,上中各2800円 下3000円)が大佛次郎賞と毎日出版文化賞を受賞した。元東大全共闘議長の山本氏は,予備校(駿台,やました注)で物理を教えるかたわら研究を続けてきた。大佛賞授賞式での挨拶 「学会などに属さない,いわばアカデミズムの外で仕事をしている人間に困難なことは多い。一番の困難さは独りよがりになりがちなこと。それを防ぐためにはプロからの批判にたえられる研究をしなくてはならない」。 みすず書房の該当頁 ※職場のF君にこの書のことを教えてもらった。彼もこのあたりをよくウオッチしてるな,さすがだ。

買った本。ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』(中公文庫,250円)@上石神井BookOff。

2月5日(木) 晴 執念の読書

夜,疲れ果てて帰宅するときまって猫が玄関で待っている。もっとも,たんに外から闖入するものの気配を怪しんで待機しているのかもしれないけど。外がどんなに寒いか,そして世間がどんなに酷薄か,わたしは切々と猫に語りかける。

その猫が,夕方,左目を赤く晴らしているというので妻は近所の動物病院に連れていった由。保険もないので結構なお値段の診察料を支払ったとのこと。結膜炎か?なるほど,痛々しい目をしている。

比較的暇な週だと思っていたがさにあらず。火曜は12時帰宅。昨夜に至っては午前2時30分の帰宅。それも荻窪から自転車を疾駆しての寒夜の帰宅。この晩は,吉祥寺から荻窪まで自転車を走らせ,深夜まで荻窪で仕事をし,(窓から竹陽書房のあかりがみえた),深夜は環八を真北に走っての帰宅だったので,L字型に相当の距離を走ったことになる。ママちゃりで(笑)

執念の読書。粕谷一希『中央公論社と私。秀逸。I君の勧めがなければ手にとっていなかったろう。昭和30年代の論壇のはやり廃りがまざまざと解る。ぐいぐい読ませるのはさすがテダレの編集者ゆえか。二十歳にして心既に朽ちたり。頽唐期の詩人李賀のことを知ったのは,たぶん彼のお陰だろう,今となっては定かでないが。なるほどヨーロッパが文芸の暗黒期を何百年も続けていたころ,九世紀の唐の若き詩人李賀は,まるでランボオのような詩句で後世に名を残した。それを掬い上げた粕谷のことも,いま,ちょっと,再度注目しているのだ。

最近買った本。『世界 謎の超古代史』(新人物往来社,300円),志茂田景樹『大三国志』(上)(講談社文庫,100円),野崎昭弘『πの話』(岩波科学の本,100円)@上石神井けんぶん堂,E・S・ガードナー『歌うスカート』『危険な未亡人』『そそっかしい子猫』(ハヤカワ文庫,計450円)@荻窪BookOff。

2月1日(日) 

久しぶりに週末まるまる休めてよかった。朝方は昨日買った『ウェブログで始める簡単スペシャルWebサイト』を片手に,Movable TypeのWAKWAKのサーバへの導入を試みた。途中まで難なく進んだが,最後にWAKWAKのサーバの仕様で作り直しを余儀なくされることに気づいた。いったん断念。再度トライすることにした。

午後2時,旧友Iさんと駅前で合流。彼の車で,荻窪・西荻窪へ繰り出した。荻窪駅南の迷路めく高級住宅街で,角川源義・恩地孝四郎・近衛文麿らの旧邸見学。そののち,西荻窪にでむき,花鳥風月・音羽館・ハートランドの3店を巡った。

なぜ急きょ西荻窪へ繰り出したかというと,彼の近年の探求書だった『夢声戦争日記』(全7巻揃い,中公文庫)を先週私が音羽館でみつけたから。本日首尾よくこれをゲットし(価格は敢えて秘す),他にも安岡章太郎の単行本,『偉大なる暗闇』講談社文芸文庫版の著者サインいり,植草圭之助・田中隆吉の中公文庫を入手できたことは欣快にたえない。で,私はといえば,広津和郎『松川裁判』(上・下)(中公文庫,計300円)と広津桃子『父 広津和郎』(中公文庫,200円),粕谷一希『中央公論社と私』(文藝春秋,500円)の4冊。

今,夕闇は深く,窓際のPCでこれを書く。猫は熟睡中で,妻は夕餉のしたくに余念がない。そういえば,彼と巡った西荻の商店街のはずれで,昔々かれの親しんだパン屋が健在なのを発見。ふたりしてカツサンドをほうばったことであります・・・。

 

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