12月29日(月) 晴 

遠藤諭『計算機屋かく戦えり』(アスキー出版局,800円)@藤井書店。

連日連夜の仕事もほぼ終局に向かおうとしている。年を明けるとセンター試験がらみの仕事が多量にあるので,年始は戦士の休暇といったところ。

我が家のBフレッツ回線の固定IPアドレスを購入してしまった。ちょっといろいろと訳があって。初期設定3000円月々4500円だからけっしてお安くない。1ヶ月間ぐらい,再度LinuxのWebサーバで遊んでみたいが,暇があるかどうか。

12月25日(木) 晴 森内俊雄蒐集

森内俊雄『朝までに』(福武書店,500円)と『午後の坂道』(講談社,500円)@音羽館。ここにはまだまだある。左は現在の森内俊雄コレクション。他に『氷河・・・』が加わって7冊。

昨晩,仔猫が夜中に粗相をした。それもとうさんの布団の上だから情けないではないか。深夜帰宅のあとへろへろの状態で酒を飲んでいたので,怒りは増幅し,逃げ回る愛猫をつかまえはげしく叩いた。美しい野獣は牙をむいて俺をにらんだ。夜更け,一匹の野獣と俺は対峙して憎みあった。

この後味はよくなかった。あの猫を叩くときの,己の中の暗い嗜虐的な悦びがわかっていた。この嗜虐がかそけき仔猫におこなわれたのではないのがせめてもの救いだった。小さい獣ではあるが,その目とその牙とは,あきらかに野獣のそれであった。

今日の昼下がり,西荻窪に森内俊雄を買いにいった帰り(ちなみに昼食は牛丼とドトール),吉祥女子中・高の手前で,横たわっている猫を見た。いやな予感はあたった。頭から真紅の血を流している三毛猫の遺体であった。痛ましや,三毛猫。痛ましや,猫。念仏を唱えて通り過ぎた。そして我が家の猫を想った。

たかがシッコではないか。なにはともあれ我が家の成員たちは生きている。一匹の猫とイグアナと。図体のでかくなった息子ふたりと,わが夫婦。計6人?。

この優しみを大事にしてゆこう。このささやかな幸福を慈しもう。と,わたしは想っているのです・・・。

12月24日(水) 

仕事漬けの日々。帰宅は深夜。

この間,買ったのは,多島斗志之『症例A』(角川文庫,724円)@三省堂。この著者の『汚名』を旧友I君が激賞しているし,この症例Aについては北上次郎氏が薦めているらしい。注目している作家だ。そこで読んでいるところだが・・・

精神分裂病を扱う小説は,やはりしんどい。どっちかというと,わたしは,精神分裂病についてはそれが聖なる病だという思いをひきずってるところがある。例えば種村季弘さんが,「ハッピー・フューの書棚にいつまでも残る一冊」(やっきさんのHPから転載させていただいた)として薦めるスイスの作家ヴァルザーの『トゥーンのクライスト』あたりが青春期の読書として心に残っている。そんな人間なので,精神分裂病(統合失調症)が大脳におけるドーパミンの受容障碍としてあっさり裁断されてしまうような最近の学説に接すると,いささか当惑してしまうわけだ。

他に,音羽館(西荻窪)にて,森内俊雄『風船ガムの少女』(福武書店,500円)と『真名仮名の記』(講談社,500円)。森内俊雄にはひそかに注目している。引き続きここで買い続けるつもりだ。かたや・・・

吉祥寺藤井書店では吉田健一のコレクションが放出された。50冊以上ある。こちらもこっそり注視中。

12月21日(日) 快晴

子母沢寛『味覚極楽』(中公文庫,180円),吉行淳之介編『奇妙な味の小説』(中公文庫,200円)@藤井書店。植田康夫選『何用あって月世界へ 山本夏彦名言集』(文春文庫,200円),城山三郎編『男の生き方四〇選』(上・下)(文春文庫,各100円),杉山隆男『メディアの興亡』(上)(文春文庫,100円)

平日の昼休みには,ほぼ毎日吉祥寺か西荻窪の古本屋。休日は,石神井公園か上石神井か西武池袋線沿線(練馬・中村橋)。練馬高野台BookOffはほぼ毎日。たまに中央線界隈(高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪)と神田探訪。加えて今年は,志木駅界隈と常磐線沿線にも橋頭堡を築いた。そんな一年も終わろうとしている。

『吠える犬』了,些細な隣人同士の諍いがあれよあれよと大事件に。法廷闘争圧巻也。

残務整理で吉祥寺。帰路,上石神井→石神井公園ルートで古本屋巡り。石神井公園にブックマートが開店してたので覗いたがさしたる本なし。

12月20日(土) 

★子供の頃,♪線路は続くよ,どこまでも という歌があった。今年は大晦日に至るまで仕事の連続であります煩瑣な成績処理が2つも。うらはらに歳末は,なぜか遊びたくなります。クリスマスもあるし,大晦日もある。日頃疎いミステリもよみたいし,T3(昨日から)などのDVDも観たい,ついでに猫とも遊びたい,PCゲームに興じたい,などと,しょうもない欲望が噴出するのであります。あと十日のうちに,1回くらいは家族で外食(富士見台の隠れ焼肉名店・牛蔵,武蔵関の仏蘭西料理サンマルコあたり),メルマガで注文してしまったズワイガニ4匹による一家四人のカニ三昧などが人生の目標であります。

★長男が,丸善製はがしっこシリーズ5『値札はがし』を池袋東急ハンズで買ってきてくれた。気が利くなあ。480円くらい。これはずばりBookOff対策。手元のちくま文庫・中公文庫・岩波文庫で試したがまずまずの効用です。なにしろせどりのプロ,芳賀健治氏ご用達の逸品であります。

★amazonから,石田晴久編著『コンピュータの名著・古典100冊』(インプレス,1500円)着。読むのはこれから。私としては,西洋19世紀の天才たちの著作・20世紀前半の情報理論の天才たちの著作・20世紀後半のUnixやAppleやMSに集った天才たちの著作,などを鳥瞰したいと思ってます。

★Macintosh用国産RPGゲームの傑作,『サムライメック1&2』(ヒューリンク)。わたしも8年ほど前2のほうにどっぷりはまりました。発売元がもともとお堅いところなのとプラットフォームがマイナーなこともあって,近年情報がなかったのですが,偶然これにめぐり合った一ファンが興したサイトが,開発者を動かし,現在絶版となっているシリーズ1作のネット上の公開に至ります。http://homepage.mac.com/samuraimech/

12月18日(木) 快晴

昼休み西荻窪に遠征。ドトールで珈琲片手に『吠える犬』を読む。帰り道,音羽館に立ち寄り。ここは間接照明のモダンな本屋で,そのせいか,どうも隅っこには未だ謎の書籍が埋もれているようだ。今日,たまたまうずくまって現代文学の棚を眺めると,おお,森内俊雄のコレクションがひっそりと眠っているではないか。その数,15冊。以前荻窪のささま書店で誠実なコレクションをみたことはあるが,これだけ揃っているのをみるのは初めて!しかも初版帯つきにも関わらず良心的なお値段である。

ちなみにYahoo!BooksでISBNコードの現存する森内さんの著作を調べると26冊である。そのほとんどが入手困難本だから,とても貴重なコレクションといってよい。というわけで,『羊水花』(集英社,1976年,500円)をひとまず購入。他に,同店できゅう永漢の『食指が動く』(中公文庫,100円),山田風太郎『戦中派不戦日記』(講談社文庫,400円)。

12月17日(水) 

『義眼殺人事件』了。すいすい読めて,ペリー・メイソンの活躍に胸がすく思い。昔の購書記録を調べたら昭和54年の年の瀬に読んだことがわかった。以来24年,進歩してませんなあ,わたし。さっそく次なる『吠える犬』に突入。

12月14日(日) 晴れ

WAKWAKのサーバが移転するとの通知を前から受けていたので,今日HPをまるごと移植した。単にURLが変わるだけではないので,とても面倒である。CGIの設定のなかにもURLを直接参照しているのもあったりで,書き換えが面倒だった。いちおう全て動くようになったが,HPの過去日記のなかにknown Problemsがいくつか判明している。これを機にチューニングしよう。遅ればせながら気づいたのだが,世の中は,WebLog?ばやり,WikiMovable Typeなどの魅力的で強力なツールが脚光を浴びている。XMLにも別な光があたっているよう。このHPもしょうもない日々雑記だが,元祖ウェブログといえなくもない。

12月13日(土) 晴れ 神田にて眼福

年内丸一日休めるのは今日が最後かも。年納め古本巡り兼忘年会ということで,旧友Iさんと神田で会うことにした。

出掛けの駄賃というわけじゃないけど,高野台駅前BookOffにて,かの海鼠道の大家ロビン・ギルさんの『英語はこんなにニッポン語』(ちくま文庫,100円)を見つけて,ペリー・メイソンシリーズの美本ガードナー『管理人の飼猫』『義眼殺人事件』『吠える犬』『すねた娘』『奇妙な花嫁』(創元推理文庫,各100円)とあわせて買っておいた。

待ち合わせ時刻までややゆとりがあったので,以前掲示板で話題になった風光書房(駿河台3-7新興ビル4F)に立ち寄ってみた。(オブローモフさんありがとうございました) 以前は江古田にあった西洋文学専門の店である。おお,ご店主とは15年ぶりの再会か。お互いふけましたなあ。高い書棚が整然と林立する店内には戦前から現代に至る稀こう本が丁寧に蒐集されてひっそりと息づいている。蓋し眼福であります。

三茶書房店頭の岩波文庫を眺めたあと,三省堂にてIさんと合流。手始めは,某小学校前の古本屋。店名を紹介しようと思ったのですが,購入した瀬沼茂樹『日本文壇史 22』(講談社文芸文庫,600円)の奥付の値札が剥されてしまったので店名失念。こののち,小宮山書店の特設売場2箇所,文省堂?などを巡る。Iさんは庄野潤三『浮き燈台』などを購入。

次に,メインストリートの一連の名店,すなわち小宮山書店・田村書店から大雲堂書店までを巡った。彼に教えられて知ったのだが,大雲堂は日本近現代文学の個人全集のメッカなのですね。岩波書店版大岡昇平集・同全集ほか諸々の個人全集の相場は,店内をぐるりと回って詳細に知ることができる。本の売れぬ昨今の情勢を反映してか,相場は下がり気味で,わずか1万円から5万円でも用意すれば,芳醇な味わいのある個人全集を揃いで手に入れることができる。他の趣味と比べて書籍蒐集はなんと安価かつ高雅な趣味であろうかと,これはふたりの一致した意見。

さて台南担仔麺 水道橋店にて一杯やった後,ふたりしてほろ酔い加減で繰り出した水道橋白山通りに隠れ名店が潜んでいましたな。その名は山口書店。ここは近現代文学の文庫,特に角川文庫や新潮文庫の絶版文庫の専門店であります。品揃えをみて驚愕,そして値札を見て再び驚愕。いやあ,それにしても眼福でした。

本日の収穫はなんといっても伊藤整『太平洋戦争日記』(全3巻)(新潮社,2200円?)。相場の約半値,新潮社のオンデマンド復刻版では17000円もしようという入手困難本です。Iさんが田村書店で確保してくれた品。他に阿川弘之『舷燈』(講談社文庫)を頂く。かわりにといってはなんですが吉田健一『東京の昔』(@花鳥風月)を進呈。

 

12月11日(木) 

ダグラス・プレストン『海賊オッカムの至宝』(1,000円)@アマゾン中古本。文春文庫の新刊リンカーン・チャイルド『ユートピア』(文春文庫)を,本の帯で作家瀬名氏が激賞しているのを見,ホントかなと思い調べてゆくうちに,共作者の代表作にぶちあたってしまった。

安岡章太郎『小説家の小説家論』(福武文庫,200円)@きさらぎ文庫。

12月10日(水) 晴れ

Iさんより,神田はT書店にて伊藤整『太平洋戦争日記』を確保したとのメールあり。深謝。

重松清『ナイフ』(新潮文庫,200円)は息子たちのために。リチャード・ジェサップ『摩天楼の身代金』(文春文庫,250円)。

セバスチャン・ユンガー『終わりなき戦いの地』(集英社文庫)と,『ナチス狩り』(新潮文庫)。前者はBS2週刊ブックレビューで某氏のお薦め,後者は旅人さんの★5つのお薦め。このへんのノンフィクションが面白そう。

仕事繁忙,私生活低調。語るべきことなし。猫に時折目を覚まさせられうつらうつらしながら夜明けに初恋のひとの夢をみた。すっかり老け込んでいて夢の中で愕然とし,夢のなかと醒めて後とに過ぎた年月のことを思う。ネルヴァル『シルヴィー』が恋しい。

12月7日(日) 曇り

武蔵関駅北口たんかく書房(年内で閉店とのこと)にて,清沢洌『暗黒日記』(全3巻)(評論社,1500円は格安)と山本夏彦・山本七平『意地悪は死なず』(中公文庫,240円)。上石神井駅そばBookOffにて,小林信彦『本は寝ころんで』(文春文庫,200円)

旧友Iさんが神田T書店に伊藤整『太平洋戦争日記』揃いが2200円ででてるとメールで教えてくれた。買いに行く暇がないのが残念。

12月6日(土) 曇り

織田作之助『聴雨・蛍』(ちくま文庫,400円),大川渉編のこの短編集,他との重複が少ない貴重な1冊。ケン・ラッセル監督『アルタード・ステーツ 未知への挑戦』(DVD,1500円),1979年の映画だから,コンピュータはまだ個人のものでなかった時代の映画。そのせいでもないだろうが奇想はかえって新鮮。『ブレードランナー』『ブレインストーム』などこの手のサイバーパンク?の傑作映画はむしろPC黎明期のころに多いなあ。というわけで風間賢二編『ヴィクトリア朝空想科学小説』(ちくま文庫,400円),解説は高山宏氏,さもありなん。須山静夫訳『オコナー短編集』(新潮文庫,438円),全短編上下二巻はいかにも高価,まずはここから。秦郁彦『昭和天皇五つの決断』(文春文庫,100円),これはなかなか面白かった。泉麻人『東京自転車日記』(新潮文庫,100円),かつて単行本で愛読したが文庫版も素敵なので。ノヴァーリス『青い花』(岩波文庫,90円)・シュニッツラー『花』(岩波文庫,90円),ケラー『恋ぶみ濫用・馬子にも衣裳』(岩波文庫,90円),この3冊は中村橋駅某所にある新興系古本屋の片隅で。今時岩波文庫に掘り出し物は少ないが,この店は別格。最後のケラーなどは千円してもおかしくない。

我が家に子猫来臨。長男の小学時代の同級生が自宅そばで保護して半年間里親を探してきたのだという。このたび縁あってクラブの後輩のお嬢さん(=次男の同級生)経由で我が家に貰われることとなった。とても内気な猫で心配したがやっと少し慣れてきたようだ。毎晩とうさんの布団の上で眠っている。生後半歳の雌。

Robin.D.Gill "浮け海鼠 Rise, Ye Sea Slugs! "(paraverse press)。Amazonから着。約2800円。天下の奇書と書いたら著者ギルさん(俳号敬愚さん)にお褒めのことばをいただいた。東西の文化史に通暁したたいへんな教養の持ち主です。

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