5月25日(日) 曇り 低調な週末

このところ根をつめて仕事をするせいか、週末が待ち遠しい。土日はなにもせずゆっくり静養したいというのが本音だ。金曜の夜、土曜の夜、最後に日曜の夜と、3泊4日?寝ては起き、また酒を飲んでは眠るという、閑雅な週末を過ごした。それでも仕事の夢を頻繁にみる。心の憂さがとれない哀しさよ。

川本三郎『あのエッセイこの随筆』(実業之日本社、350円)。岡田斗司夫『オタク学入門』(太田出版、100円)、古山高麗雄『龍陵会戦』(文春文庫、350円)。

VTRが壊れていたので、ちかくのY電機にVTR&DVDを買いに行った。映画『青幻記』再見。涙がとまらぬ。南島の古俗へのアプローチのしかたが、所詮は土着vsモダンという図式から逃れられないという弱点はある。しかし、私の南島論開闢の映画であるのは間違いない。

夜、寝床で、立原道造全集(函なし、カバーなし)を読んでる時が一番幸せ。低調な人生・低調な週末であります。

5月23日(金) 曇り

なかにし礼『翔べ!わが想いよ』『兄弟』(文春文庫、各100円)@吉祥寺BookOff。夫婦で1冊ずつ読みまして、なかにし礼のファンになりました。年間1500万枚のレコードを売った作詞家はいまだ彼ひとりだそうで(本執筆時点)。

5月18日(日) 曇り ちょっと荻窪へ 〜荻窪古書店現況報告〜

荻窪へゆくつもりが間違えて阿佐ヶ谷にたどり着いたのが先月の20日だから、それからもう約1ヶ月になるわけだ。今日やっと荻窪古本屋めぐりを果たせた。

自転車で約30分の気楽な小旅行である。それでも旅行らしい風情があるのは、日頃自転車ででかけない場所であるのと、西武池袋線をくぐり西武新宿線を経て、中央線荻窪駅近くの地下道をくぐり、中央線の南にまで足を運ぶので、時間のわりに移動の実感があるからかもしれない。つげ忠男『舟に棲む』の主人公は、ちいさな舟を買い、川という非日常の異界を移動する手段を得ておおいに喜ぶのだが、このわたしの自転車もそのようなものかもしれない。これが車であれば、ちょっと隣県までドライブするのも容易で、移動の爽快感ははるかに優るのだろうが、わたしにはローテクの自転車がお似合いである。

というわけで念願の荻窪駅南口に到着。手元には先日手に入れた荻窪古本屋マップがある。ささま書店。井伏鱒二や木山捷平、藤枝静男などのていねいなコレクションがある。しばらくゆっくりと店内閲覧。店頭本のふるい谷崎『風テン老人日記』100円の丁寧な本の造りに感心したりしたがここでは買わず。旧版の荷風全集揃い6000円というのも驚き。買ってもいいのだが運ぶのがねえ。

次は竹中書店。ここでは迷った末に立原道造全集第1巻・第2巻(角川書店、各1500円)を購入。迷ったのは、志木東西書房に6巻揃いが12000円で置いてあるからだけど、う〜ん、まあよしとしよう。25年を経てやっと全集の1〜3まで揃ったことになる。ここは哲学・人文系も充実してますね。店頭で、むかしいっしょに仕事をしたことのある佐怒賀正美さんの句集を発見して驚いた。

ここから古書・銀河に向かうが、既に店は閉じていた。無念。21世紀版古書店マップではその先の善福寺川べりにも杉波書店という古本屋があることになっているが、ここもみつからず。この2店については、先日入手した古書店マップに記載がないところをみると、実はこの小冊子は最新の実態を反映しているのかもしれない。

次が常田書店。最近の店ですね。ほとんどの本にトレーシングペーパーがかけられており、木の床も清潔で、やや薄暗い店内には画廊のような閑雅な雰囲気が漂う。余計な本もおいてなく、店主のこだわりが伝わってくる店だ。寺山修司の浩瀚なコレクション、小林信彦や獅子文六のコレクションもある。値段はやや高め。旺文社文庫の百間コレクション全冊揃い(含む写真帖)68000円は高いのか安いのか。

今回は、岩森書店・竹陽書店・荻窪書店・新央書店・BookOffは見送り。

毎度毎度の古本屋通いで、ずいぶんお気楽だと思われるかもしれないが、いまのところこれ以外に人生の楽しみなし。ふと人生の寂寞すら感じることもある。いたって安上がりな趣味であるが。

5月17日(土) 曇り 田村書店の店頭本

九段の如水会館にて高校の同窓会総会。卒業生の某タレントが講演するとあって会場は立ち見のでる盛況ぶり。旧友たちと歓談した後、神田古書街に立ち寄る。この街では店頭本にも光るものがあって、店頭本をチェックするひとたちの眼光も鋭い。さすがだ。時間もないので、例の田村書店の店頭均一本をチェック。まっさきに目に入ったのが、幸田露伴『露伴随筆集(上)(下)』(岩波文庫、500円)。寺田透による詳細な注釈がうれしい。ずっと探していた本だ。これはラッキイと喜んで、ふとその上の本を見ると、なんとそこには、結城信一『空の細道』(河出書房新社、昭和55年初版、800円)があるではないですか。なんという密度の濃い店頭本だらう。感動して、隣の大岡昇平『少年』(講談社文芸文庫、200円)とあわせて買っておいた。なかの店主はたまたま不機嫌そうで若い店員を叱っていたりしたが、この店の店頭本はさすがに濃い。近隣の小宮山書店で、稲垣足穂の南北社版『僕の「ユリイカ」』(8000円)で目の保養をし、第二会場である神田のKさん事務所に向かった。三次会はそばの居酒屋で。各界錚々たる面々が揃って、わたしはご高説をおとなしく拝聴してました。世の中は政治と経済で動いているのね、当方疎し。散財痛し。

5月16日(金) 曇り 毎日一冊

いま吉祥寺の古本屋には、おに吉古本案内という小冊子が置いてある。無料。坪内祐三や岡崎武志が小文を寄せている、荻窪・西荻窪・吉祥寺の古本屋ガイド。吉祥寺のマップを念のためチェックすると、おやなんと、職場の近くに見知らぬ本屋があるでないの。さっそく、すうさい堂(五日市街道ヤマザキデイリーショップ脇入る)訪問。記念に目黒孝二『活字三昧』(角川書店、700円)。山上たつひこ『喜劇新思想体系』やら日野英出志?やら諸星大二郎のマンガが目につく、サブカルチャ系のお店。4月5日に開店したとのことであった。

同じく吉祥寺りぶるりべろでは、丸谷才一・木村尚三郎・山崎正和『固い本・やわらかい本』(文藝春秋、300円)。藤井書店では、前嶋信次『アラビアン・ナイトの世界』(平凡社ライブラリー、400円)、イスラム文化圏を核にして、西洋文化・インド文化圏をまきこんだ壮大な説話世界のいったんが開示される。おもしろそう。

というわけで一日一冊。ますます積読本が増殖している・・・。

5月15日(木) 

 近藤富枝『信濃追分文学譜』(中公文庫、250円)。立原道造の儚い青春を追慕した二つの章を読んだ。(筆者は1922年生まれ、立原は1914年の生まれ。)筆者の優しさがにじむ文学誌だ。

5月12日(月) 曇り 

昨日。志木のIさん宅でインターネットのセッティングにおつきあい。安岡章太郎『アメリカ感情旅行』(岩波新書)を貰う。1960年代初めのアメリカ紀行。志木東西書房再訪。阿川弘之『水の上の会話』(新潮文庫、100円)吉田直哉『思い出し笑い』(文春文庫、100円)、パウル・ハイゼ『忘れられぬ言葉』(岩波文庫、400円)、高橋英夫『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』(新潮社、1984年、400円)(やっと手に入れることができた、Iさんがみつけたのを譲ってもらった) 帰りは車で高野台まで送ってもらう。

このところ買った本は、ほかに、内田百間『百鬼園随筆』『続百鬼園随筆』(旺文社文庫、各100円)、佐藤忠男『日本映画300』(朝日文庫、600円)、獅子文六『てんやわんや』(新潮文庫、514円)。

5月8日(木) 曇り つげ忠男のちいさな世界

GWからこのかた延々と続く仕事で、肉体的にも精神的にもつくづく疲れました。やはり、中年無理はできませんなあ

そんな日々、たまたま石神井公園でめぐり合ったつげ忠男の釣りマンガ『舟に棲む』が心に沁みる。中年期から初老期に至る男性の、こころとからだの危機が、静謐なタッチで叙述されている。脈絡のない言い方だが、森内俊雄『氷河が来るまでに』のことを思い出した。

利根川中流に面した東京近郊の町にすむ主人公。かつて新人賞をもらったこともある作家のはしくれだ。妻と長男はジーンズショップを営んでいて、昼間は店を手伝うこともあるが、最近の流行についてゆけず、かえって店では浮いてしまう。大作?の筆は遅々としてすすまない。或る日、川べりで一艘の舟をみつけ、持ち主の漁師から格安で譲ってもらう。陸釣り専門だった主人公は、ぼちぼちとこの一艘の舟と親しむうち、やがて、月のうちの数日を、この舟のうえで過ごしはじめる・・・。

つげ忠男『つげ忠男劇場』 ご存知のように、つげ義春の弟である。

5月5日(月) 曇り

自宅で仕事漬けのGWだった。朝な夕な、そして深夜もディスプレイとにらめっこ。しかしま、SOHOというんだろうか、自宅にいて家事を手伝ったり食事をつくったり子供の勉強をみたりできたのでよしとしよう。

小林信彦『人生は五十一から』(文藝春秋、700円)。戦中派の心性というのは嫌いではない。今日は石神井公園にウツを散じにでかけた。きさらぎ文庫にて、つげ忠男『舟に棲む』(上・下)(ワイズ出版、2000円)をみつけてうれしい。静謐で優しい、哀しい、釣りのマンガ。ここではほかに、西條嫩子(三井ふたばこ)『父西條八十は私の白鳥だった』(集英社文庫、200円)。鈴木翁二のマンガもあったのだが、買いそびれた。

5月3日(土) 曇り

吉祥寺BookOffが駅南口(T-Zone跡)に開店したと同僚にきいたので様子を見てきた。開店後2週間もたっているのでめぼしい本はない。唯一、有馬頼義『兵隊やくざ 戦中編』(光文社文庫、100円)を拾う。これはIさんの感化。今日はかねたくさんお薦めの小林信彦『にっちもさっちも』(文藝春秋)を買おうと思っている。

仕事漬けのGWで、楽しいことはな〜んにもない。夜、寝床で『日本文壇史』を読み続ける日々だ。それにしてもこの『日本文壇史』、たいへんな著作だな。先日日経のコラムで伊藤整再評価のうごきを伝えていたけど、(某雑誌で小説家としての石原慎太郎たちが『変容』や『氾濫』を論じているらしい)、さもありなんと思う。

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