2月25日(火) うす曇り

という訳で、1ヶ月間ずっと『日本文壇史』にはまり込んでいる。今まで縁遠かった明治の作家、例えば二葉亭四迷を求めて、平凡や浮雲を探しているが意外に見つからない。(吉祥寺藤井書店で昭和30年ごろの新書版全集バラ各100円がみつかったけど状態悪し。)関川夏央『二葉亭四迷の明治四十一年』や坪内祐三『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』などの未読本にも食指がのびているのだが、いまここでそっちに浮気すると肝心の文壇史が疎かになるおそれがあるので、浮気系・積読系のわたしとしては珍しく、ずっとずっと伊藤整である。

昨夜は雨が降ったのでバスで帰った。石神井公園で降りて草思堂にて、堀田善衛『定家明月記私抄』(新潮社、500円)・『丸谷才一批評集5 同時代の作家たち』(文藝春秋、500円)。巻末の川本三郎と丸谷才一の対談を読んだ。

2月23日(日) 曇り

あれっ、木・金と本を買わなかったのか?毎日、古本屋通いが唯一の楽しみだったのだが。土曜は、芝野耕司『SQLがわかる本』(オーム社、100円)、今日は、瀬沼茂樹『日本文壇史23』(講談社文芸文庫、660円)、堀田善衛『誰も不思議に思わない』(筑摩書房、300円)、『本の雑誌傑作選・風雲編』(本の雑誌社、350円)を買った。この間、通った古本屋は、吉祥寺ではBookStation、りぶるりべろ、藤井書店、外口書店、さかえ書房、上石神井ではせきぶん堂書店、石神井公園では草思堂、練馬高野台ではBookOffと、計8店に及ぶ。ささやかな趣味であるけど毎日せっせと通っているので、いろんな本にめぐり合えてじつに幸せ。(中断)

ヤマダ電器開店狂想曲。結局、掃除機と長男のための激安コンポ購入。

冷たい風のなかにもいささか春の気配のする日曜、職場近くの五日市街道を上り方向に進み、先日I君から聞いた道をたどって、約30年前の春の一日を再現してみた。微かな思い出に導かれ、件のアパートにたどり着いた?ような気のした、日曜の午後だった。

心穏やかな春の日を楽しむ歳はいつになったら訪れるのだろう?

2月20日(木) 雨 読書の効用?

先日、職場の研修でTVためしてガッテン?を観た。眠りの科学とかいったようなテーマであった。(1)深い眠りと浅い眠りがあって交互にこれを繰り返す。(2)深い眠り(ノンレム睡眠)の深度によって睡眠の効果は左右される(3)深い眠りは、日中の活動によって生じた心身の疲労を、成長ホルモンの分泌によって癒す(=老化を防止する) (4)深い眠りは、起床後14時間後から分泌され始める催眠誘発物質?によって導かれる。(5)この催眠誘発物質?は、体内時計と連動しており、起床後14時間後の日照環境が、規定の明るさを超えると分泌されない。(70Wの蛍光灯位の明るさが境界線)したがって、起床後14時間後からは意図的に室内を間接照明に切り替えると良い (6)日中の活動によって生じたストレスにより体内に蓄積された悪玉ストレス物質は、眠る前に好きなことをやることによって、善玉ストレス物質に転換できる。この善玉ストレス物質は、眠りを誘発する。逆に眠る間際まで、日中のストレスを引きずるような生活は、眠りを疎外する。(7)精神的なストレスは、肉体的なストレスにより駆逐される。

とまあ、当たり前のようだが、感心するところ多かった。小生の日常にはたったふたつだが利点があった! 即ち、日中の仕事によって発生した精神的ストレスが、まず(1)自転車通勤という軽度の運動によって放逐される (2)眠る前、好きな本をよむわずかな時間で、精神的ストレスが睡眠誘発物質に転換される ということだ。どうりで、寝床で日本文壇史を読み出すと眠くなるわけだ(笑)

深い眠りに恵まれた生活は心身の老化を防ぐらしい。読書に限らず好きなことに没頭できるということは、心身の老化を防止する効用があるわけだ。元手いらず、場所いらずの手ごろな趣味・読書のある種の効用といえようか。(笑)

瀬沼茂樹『日本文壇史20』(講談社文芸文庫、600円)@よみた屋吉祥寺。

 

2月17日(月) 晴れ やれやれまた1週間が始まる

土曜日:休みの日だが朝方急な打ち合わせがはいったので出社。昼休み、せめてもの楽しみに、職場近くのりぶる・りべろにて中公版の『日本の文学』から、『伊藤整』『横光利一』の2冊を拾う。各100円。伊藤整『氾濫』、横光利一『上海』『機械』『寝園』など。夕方、中央線上り電車で銀座に向かう。旭屋書店銀座店にて旧友I君と待ち合わせ。さすが、銀座。さすが、旭屋。渋い本がちゃんと並んでいる。『日本文壇史 総索引』(講談社文芸文庫、1900円)なんて初めて知った。ちょっと高いのでパスしたが。

秋吉銀座店(銀座8-3-10)にて焼き鳥各種とビールで乾杯。やきとりの名門、と自称するだけあってたいへん旨い、かつ安価。サービスもよかった。芝木好子・佐多稲子・中野重治・野口冨士男など広範な話題に花が咲いた。ついで『Lupin』。ご存知太宰治が通ったバー。シックな店内には、太宰・坂口安吾・織田作之助の写真がならんでいる。昭和3年の創業というから以来75年になるわけだ。よい気分で酔って最後は『天津飯店 銀座店』。若い中国人が立ち働く活気ある店で特製ラーメンをすすった。

I君からは、伊藤整『青春』(新潮文庫)、山本夏彦『変痴気論』『編集兼発行人』(ともに中公文庫)、『伊藤整集』(偶然にも朝買った本)を恵贈いただく。また横山秀夫の話題の3冊『半落ち』『顔』『深追い』を貸していただいた。楽しみです。

次回、東上線古本屋探索を約して池袋にて別れた。

日曜:妻が誘うので東京都美術館に『ヴェルサイユ展』を観にいった。雨にもかかわらず、会場はひとが多くてげんなり。フランス史のおさらい。ネルヴァルの追慕した御世の文化的背景を学ぶ。上野で食事したあと、別れて都内某所にてPCのメンテナンス。そこから中央線下り電車で職場に向かう。懸案をいくつか整理して、自転車で帰宅。以前バスの車窓からみつけて気になっていた上石神井駅前の古本屋『ノア書房』に立ち寄る。H系の本が多くがっかり。悪い本屋ではないのだが。気を持ち直して同じく駅前の『せきぶん堂』にて、伊藤整『日本文壇史7』(500円)、野口冨士男『かくてありけり・しあわせ』(570円)を買う。I君絶賛の自伝。これも縁なので買っておいた。そんでもって自宅そばBookOffで、『東海林さだおの弁当箱』(朝日文庫、100円)、新潮日本文学31『伊藤整集』(350円)。『若い詩人の肖像』『発掘』が揃った。

2月14日(金) 晴れ

妙にさびしくウツな日が続く。1ヶ月働きづくめだった反動からか、仕事も楽しくなくちょっとしたミスにも傷つく。忙しすぎる中年生活。あり余る金があったなら、家族も郷里に残した母親ももっと幸せかもと、またまた妙に落ち込む。

華やいだBBSくらいがせめてもの救い、ありがとうございます、Yoさん・由里葉さん。

吉祥寺りぶる・りべろにて、伊藤整『日本文壇史2』(講談社文芸文庫、600円)。谷川健一他『日本民俗学体系2 太陽と月』(小学館、500円)。寿岳文章訳『神曲』(集英社文庫)煉獄編の中沢新一エッセイを立ち読み。これも買わなくては。そしておふたりおすすめの辻邦生・水村早苗『手紙、栞を添えて』(朝日文庫、640円)、昼食のマクドでさっと目を通した。本当はゆっくり読みたいけど。

明日は旧友Iさんと夕刻から銀座散策の予定。なんとか今日一日を乗り越えよう!

2月12日(水) 曇り 陰々鬱々読書日記

このところ小雨に打たれて帰宅することが多い。侘しいなあ、身もこころも。1ヶ月も暴走したので反動の谷も深いよ。自分の生活と家族のことで精一杯という感じ。どこか遠くへいきたいなあ、なんて漠然と思う。そうか、郷里にすらもう1年以上帰っていないんだなあ。

引き続き伊藤整『日本文壇史5』(講談社文芸文庫、600円)と、辻静雄『ワインの本』(新潮文庫、330円)

2月9日(日) 晴れ

春めいた一日。江古田と練馬の古本屋を散策して、伊藤整『日本文壇史4』『日本文壇史1』(共に講談社文芸文庫、計850円)と増田四郎『ヨーロッパとは何か』(岩波新書、200円)を求める。

ロウな週末だった。

2月8日(土) 薄曇り

檀一雄『美味放浪記』(中公文庫、280円)、泉鏡花『薄紅梅』(中公文庫、350円)、辻静雄『料理人の休日』(新潮文庫、100円)、勝見明『鈴木敏文の「統計心理学」』(プレジデント社、1200円)。アマゾンの中古ショップで辻静雄『フランス料理の手帖』(新潮文庫、700円)

 

2月5日(水) 曇り

昨夜、帰路で立ち寄ったBookOffの有線で、イルカ『なごり雪』をモチーフにしたラップミュージックを聴いて感動した。(誰の唄なの?) なんというかその、清冽な純情と、だるくて惨めな日常が混交したような、ありていにいえばそこらへんに転がっている若い男の子の生活のだるい性的な鬱屈、喩えていえばどんよりとした曇り空の片隅に、そこだけほの明るく陽の光が差しているような、へんなリリシズムを感じたのであった。なんのことはない、中年オヤジの生活も同じなのだった。BookOffで、伊藤整『イカロス失墜』(新潮文庫、100円)、吉岡忍『死よりも遠くへ』(新潮文庫、100円)。りぶる・りべろでは伊藤整『日本文壇史3』(講談社文芸文庫、600円)

2月4日(火) 曇り

かわうそ亭さんが木山捷平詩集をお探しの由読書日記で拝見したので、おやそれならと、吉祥寺さかえ書房に買いにいった。木山みさをさんの編になるもので奥付には昭和62年八百部上梓とある。版元は神田の近代文学専門店三茶書房で当時の価格が3500円である。それが2400円なのだから一応お買い得で、これも縁とおもい求めておいた。かわうそ亭さんがご所望ならばお譲りしようという気持ち。

ところが、買うときにも気になっていた函の汚れが、やっぱりひどく気になる。ひとにお譲りする状態じゃないなあ、という結論になった。そもそも、かわうそ亭さんがお探しなのはおそらく講談社文芸文庫版だろう。

相変わらずの忙しさで、週末もキーボードを叩きっぱなし。寝る前のわずかな時間しか読書できない。それでも、海老沢泰久『美味礼賛』で、辻静雄のフランス美食修行にワクワクし、伊藤整『日本文壇史14』では、田山花袋と女弟子たちのすったもんだを読んでは花袋に同情したりする。

伊藤整『日本文壇史16』(講談社文芸文庫、600円)、セルバンテス『ドン・キホーテ 続編3』(岩波文庫、100円)、『活字マニアのための500冊』(朝日文庫、100円)

 

1月30日(木) 晴れ

オブジェマガジン『遊』創刊2号(1972年)800円@りぶる・りべろ。例によってYさんへの献呈本としてキープしておく。同じ店で、伊藤整『日本文壇史 14』(講談社文芸文庫、600円)。昨夜、幸田露伴が京大に招かれるくだりを読んだが、実に面白い。日本文壇史は、黒っぽい函がずらりと並んだ様を中学(または高校時代)の旧い図書館の片隅に注視して以来30年がたつがこんなに生き生きとした時代史だとはしらなんだ。伊藤整は、理知的な風俗小説家という先入観があって、長年疎い作家だが、さすがである。日本文壇史はぼちぼち拾い集めていこうと思う。

忙中、旧友Iさんの吉祥寺再訪の記、旧友Kさんの随所での活躍などをメールで読んだ。

この間、インド文学の上村勝彦氏、安原顕氏、多田智満子さんの訃報に接した。

1月20日(月) 晴れ

昨夜、冷たい雨にうたれて帰宅。さすがにこたえた。センター試験が無事終わって、難解(厄介)仕事はこれから第二ラウンド。あと1週間は油断のできない日々が続く。

というわけですっかり不義理をしてしまっているこの頃。なにしろ未だ年賀状のお返事も書いていない。寒中お見舞いを差し上げなくては。

このところ買った本。豊島修『死の国・熊野』(講談社新書、250円)、青木正児『酒の肴・抱樽酒話』(岩波文庫、180円)、三宅隆三・川瀬信一『都市の化石地図』(保育社カラーブックス、50円)、与謝野晶子『みだれ髪』(新潮文庫、50円)、J・ルースロ『フランス詩の歴史』(文庫クセジュ、400円)、川本三郎『本のちょっとの話』(新書館、700円)、高橋治『片意地へんくつ一本気』(文春文庫、150円)

1月14日(火) 晴れ

南木佳士『冬物語』(文春文庫、250円@外口書店)を買って読んでいる。昨日の昼休み、吉祥寺駅前の古本屋で買って近くのマクドナルドで読んだ。表題作『冬物語』を一読し不覚にも涙がこぼれた。

1月13日(月) 晴れ

山内一也『キラーウイルス感染症』(ふたばらいふ新書、838円)・畑中正一『現代ウイルス事情』(岩波新書、100円)を読んだ。山内氏は東京大学医科学研究所教授を経て現在名誉教授。この本はエボラ熱・ラッサ熱・狂牛病など最近の凶暴なウイルスの巻き起こす奇病の原因究明に取り組む各国研究者の動向をうまくまとめている。この本の書かれた後不幸にも炭阻菌によるテロがおこったのは周知の通り。ただ、ウイルスとは何か、抗体とはなにかなどの基礎的な情報は得られない。いっぽう、畑中氏は京都大学ウイルス研究所長(1992年当時)。約10年前の本だが、ウイルスとは何かについて学術的に解説している。やや難しい。やっぱ、高校教科書からおさらいする必要があるかも。

BookOffの成人の日記念?半額セール。菊池寛『父帰る・屋上の狂人』(新潮文庫)・『中勘助随筆集』(岩波文庫)、チョーサー『カンタベリー物語 上』(岩波文庫)・ヘンリー・ジェイムズ『ある婦人の肖像 上中下』(岩波文庫)・篠山紀信『シルクロード 2・3』(集英社文庫)・おーなり由子『天使のみつけかた』(新潮文庫)・車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』(文春文庫)・高島俊男『本が好き、悪口言うのはもっと好き』(文春文庫)・井伏鱒二『文士の風貌』(福武文庫)・松岡正剛『知の編集術』(講談社新書)等を買い込んだ。

 

1月11日(土) 晴れ

なぜか菊池寛を読んでいる。「俊寛」、遠流譚。これがなかなか心に沁みる。映画『キャスト・アウェイ』より遥かによい。「蘭学事始」、杉田玄白と前田良沢の心の交流。「恩讐の彼方に」、いわずと知れた名作。なぜか涙を禁じえぬ。簡明にして雄渾な文体、解りやすいプロットとにじみ出るヒューマニズムが懐かしく、なぜか新鮮だ。菊池寛が戦後の荒廃に絶望して文藝春秋を解散し、佐佐木茂索・池島信平らがこれを継承したことは先日山本夏彦の好著『私の岩波物語』でようやく知った。角川文庫の解説は杉森久英が書いているが、彼も文春ゆかりの作家ですよね。菊池寛づいたこの数日、ついでに話題の『真珠夫人』『貞操問答?』と戯曲集まで買っておくか。

という訳で、最近買った本。菊池寛『恩讐の彼方に』(角川文庫、100円)『無名作家の日記』(岩波文庫、200円)、ミュッセ『世紀児の告白 上・下』(岩波文庫、300円)、ケラー『グライフェン湖の代官』(岩波文庫、200円)、ジャン・パウル『陽気なヴッツ先生』(岩波文庫、300円)、石川謙『石田梅岩と「都鄙問答」』(岩波新書、200円)、大橋健三郎他『アメリカ文学史』(明治書院、200円)。近所のBookOffに岩波文庫が大量に流れたので、遅い仕事の帰路、毎晩ちまちまと買っている、しょうもないおじさんであります。

1月6日(月) 晴れ

正月ももう終わりか。もう少しゆっくりしたかった。仕事も山積、私生活もまあいろいろ。楽しいことといえば古本屋めぐり位か。

昨日、石神井草子堂にて、店頭無料本の山のなかに野口冨士男『しあわせ』(講談社、1991年二刷)を発見。函の一部が日焼けしているが本はいたって美本。なぜタダか理解に苦しむが、まあ新春の椿事として喜ぼう。(ちなみに『かくてありけり』(講談社)は1000円の値がついていた) 他に、幸田露伴『風流仏・一口剣』(岩波文庫、200円)・藤原新也『西蔵放浪 上・下』(朝日文庫、300円)。露伴のほうはだぶり本と解ったが、これを機に昨夜から少し読み始めた。

1月5日(日) 晴れ

唐沢俊一『古本マニア雑学ノート』(幻冬舎文庫、100円)了。BookOffの店頭でパラパラめくると、夥しいコレクションの写真が掲載されているが、著者の蒐集領域であるカウンターカルチャがらみの本が中心で、いまいち波動が合うかどうか心配だったが、杞憂だった。やっぱり棚から抜き出すときのカンに狂いはないぜ(笑)唐沢さんときいてぴんとこなかったけど、奥さんがソルボンヌK子さんという漫画家、弟がこれまた唐沢なをきという漫画家で斯界では有名らしい。俊一さん自身も、奥さんの漫画の原作を書いているし、弟との共作では『脳天気教養図鑑』という古本マンガ!を書いているらしい(ガロ連載→冬幻舎文庫)ので、こちらも探そう。岡崎武志さんの本が好きな方にはお薦め。

梶山季之『せどり男爵数奇譚』(ちくま文庫、200円)@吉祥寺藤井書店。藤井書店の店内は新年早々熱気ムンムン。このところ昼休みに週何回か店を覗くのですっかり常連だ(笑)もっとも、毎回安い文庫しか買わないが。なぜかここはコアなお客さんが多い。目に力がある。ま、次来た時に買おうかしら、なんて思ってると次回はもう売り切れてる場合が多い。この本、昨秋友人の Iさんが褒めてたし、以前からチェックはしておいたのだが、 これがなかなか面白い。梶山季之という作家、生前は敬遠してまったく読まなかったが(高校生には無理もないか)、さすが当時の流行作家No1だっただけのことはある。書物とひとを巡る数奇な物語、連作。

他に、ブレヒト『ガリレイの生涯』(岩波文庫、100円)、新渡戸稲造『武士道』(岩波文庫、200円)

日経書評欄では、『田辺元・野上弥生子往復書簡』(岩波書店、6000円)刊行に驚いた。

1月3日(金) 曇り

重松清『定年ゴジラ』(講談社文庫、350円)了。ニュータウンにおける老後の生活を扱った小説。文もこなれていて上手いけど、その分さらっとした風俗小説になってしまっていて、なんだか物足りない。篠田節子『ゴサインタン』(文春文庫)了。近郊農業の閉塞・アジア女性との結婚・新興宗教・家族論・アジアの宗教秘儀とてんこ盛りの小説。『ハルモニア』のときもそうだったが、巻半ばまではそうしたバラエティにワクワクしながら読むんだけど、途中からストーリーの暴走についてゆけなくなる。うそ臭くなる。

という訳でなんだか小説についてゆくのもしんどくなったこの頃。元旦もやってるBookOffで、南木佳士『阿弥陀堂だより』(文春文庫、250円)<映画の評判がいいので>、安原顕編『活字中毒養成ギプス ジャンル別文庫本ベスト500』(角川文庫、100円)を買い込み、ビタミン剤を補給してるところ。

新年早々、Linuxの再インストールに挑戦。今年はデータベースをものにしようと意気込んでいるが、『MySQL徹底入門―ウェブに最適な高速フリー・データベース・サーバー』(翔泳社)まで踏み込むべきか躊躇っている。

紅白歌合戦のこと。沖縄勢の活躍。夏川りみ『涙(なだ)そうそう』沖縄方言バージョンに涙がこぼれた。BEGIN(ちゅらさんにでていたひと)の歌った『島人(しまんちゅ)ぬ宝』など。他にGacktのダークな熱唱、中島みゆきが印象深い。

1月1日(水) 晴れ 謹賀新年

昨夜まで仕事をしていた関係もあって年が改まった感慨もなく、無精髭のまま駅前のBookOffをひやかした後、やややさぐれて駅前をぶらぶらしていたら、近所に住んでいるOBのAizawaさん親子とばったりすれちがった。というか、横断歩道のむこうから笑顔で挨拶してくれた。高校を卒業してもうすぐ8年になろうから、今年は26歳になる彼女だが、当時のままに愛嬌のある気立てのいい子だ。当方といえば髪はぼさぼさ、無精ひげは濃いわで、正月早々いったい何をしているだろうかと思ったにちがいない。

昨日は受験生対象のイベントに丸一日かかりきりだった。入試直前の大学受験生たちが、一日千題の英語の問題に取り組むイベントである。日頃はこうした教育現場には滅多にでむかないのだが、昨日は採点処理の支援で試験会場横に設営した小部屋で一日マークシートと格闘していた。上位者にはMDラジカセやデジタルカメラなども贈呈される、いわばお祭りのような勉強会で、修了式の上位者発表の際には会場に歓声がこだまする。裏方なので後ろからひっそりと、当世高校生事情を観察すると、昔よりずっと幼く感じるのは、当方が歳をとったせいか、それともほんとに高校生が幼くなったのか。スタッフのお話の途中でもしきりに携帯でメールをチェックしたりするのをみては8年前とは隔世の感がある。

ちょうど8年前の昨日つまり94年の大晦日には、今朝めぐりあったAさんたちの参加したこの勉強会に、当時は校舎のスタッフとしてわたしも関わっていた。あの当時の高校生は清楚だったな。未だルーズソックスも茶髪も携帯もなかったし。あの頃のみんなはどうしているだろうと昨夜自転車で帰宅する道すがらぼんやり考えていたのだけれど、その次の日、Aさんとばったり再会した次第。

 

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