1月2日(水) 晴れ

謹賀新年。ことしもぼちぼちやっていきます。

年末に買った本、寒川猫持『面目ないが』(新潮文庫、240円)、ホーキング『ホーキング、宇宙を語る』(ハヤカワ文庫、580円)、ユルスナール『とどめの一撃』(岩波文庫、250円)、田口三郎他『統計技法』(八千代出版、100円)、久須本文雄『菜根譚』(講談社、100円)、S・ハンター『極大射程(上)(下)』(新潮文庫、200円)。このうち、『極大射程』を大晦日から元旦にかけて一気に読了。プロットもディテールも秀逸。

1月5日(土) 晴れ(一時みぞれ)

どうもこのところ、時折鬱々とした気分になる。年末年始で時間がたっぷりあって、そのため<世人>から<本来的自己>へ立ち返るためであろうか。仕事始めをおえて、やっと日常生活に立ち返ってこられた。

それと年賀状をたくさん頂く。ありがたいことだ、年末ばたばたしていて近年もっぱら返信モードなのに。そのなかでも特に会社の若いひとたちからのエールがうれしい(笑)職場のAさんは書いてくれた、このHPの『自選詩集』がいいと。おう、アップ以来だれもコメントしてくれなかった最悪詩集だが、身近なところで褒めていただいて、その気遣いに深謝。はたまた職場の若きBさん曰く、「Yさんのようにいつも楽しくお仕事したい」と。これまたうれしい。最近眉間にしわをよせて仕事をしていることが多かったように反省しているが、はたからは楽しそうにみえている?そりゃもちろんうれしい。そうか、やっぱり仕事は楽しくやらなくちゃ、と、思うことしきり。今年はなにがなんでも楽しくやるぞ、と新年の決意をかためたことであります。他、同じく職場のCさんからはわたしが「優しい心」をもっているのでそれを仕事に活かしてほしいと。ほんと?わたしは優しい心をいまだ持ってるわけ?きゅ〜、うれしい。そうか、どんな逆境にあっても優しい心を失わずにいようと、心に誓うのでした、ハイ。

ともかく年賀状をお寄せいただいたみなさま、ほんとうにありがとうございました。すべて返事を書きましたのでお許しくださいネ。

種村季弘『東京迷宮考』(青土社、1900円)、大庭みな子『津田梅子』(朝日文庫、250円)、大岡昇平『無罪』(新潮文庫、100円)、J・J・ナンス『メデューサの嵐(上)(下)』(新潮文庫、200円)

沼田真氏、向井敏氏逝去。

1月8日(火) 晴れ

正月休みに養った英気が一日でふっとんだ昨日であった。まあ、しかし、和光同塵、繁忙のなかで生きるのが自分には似つかわしいかもしれない。年末以降、なんだかブルーだ。結局、年末年始にきちんと読んだのは、ハンター『極大射程』と小沼丹『木菟燈籠』の2冊のみ。

洋書の到着を心待ちにしているホーキングの"The Universe in the Nutshell"の訳書『ホーキング・未来を語る』のe-Book版が、ダウンロード(23MB)で購入できる。定価は紙の本の48%くらい、1200円(税別)だ。一般にデジタル本といえども決して安くないのが現状だが、約半額というのは正直うれしい。すでにして洋書で3,000円以上を投資しているので、参照する訳書はデジタル本でもいいかなと思ってしまう。e-Book版の紹介は下記URL

http://www.10daysbook.com/html/top_dgp/0022_top/top1.html

新型液晶ディスプレイのi MAC登場。ひょうきんなデザインに感動。http://www.apple.com/

1月9日(水) 晴れ 川上弘美さんという作家

川上弘美『センセイの鞄』(平凡社、600円)をりぶる・りべろで買った。(ちなみに吉祥寺の古書店で言えば、火守文庫のあとに、なかむら木金堂という本屋が店を開けるみたいで、楽しみにしている、五日市街道と中央線のクロスする場所で、吉祥寺では辺鄙な場所である)安い。さっそく読んでいる。今まで読まなかったのはそれなりに理由があって、それは、川上弘美さんという作家のわなにはまりたくない、というくらいのものだろうか。けっこうわたしはひねくれているのである。

美人だとおもう。可愛いと思う。池袋西武のリブロをいつだったか冷やかした日曜日に、川上さんのサイン会が催されていて、ちょっとその気になったのだが、その気になっている自分が癪で、ご本人登場の前に店を後にしたことがある。そんなような屈折した想いだ。

今、46ページまで読んだところだ。文のうしろにある、彼女の知性が、やはり気になる。お茶の水の理学部出身とか。理系の、よく切れる鋭利な知性がチラチラ見え隠れする。仕掛けのことを邪推する。ダマサレマイゾ、と、じぶんにいう。

彼女は独身なんだろうか?彼女には子供はいるのだろうか?などとつまらぬことを詮索したくなる気分だ。作品の自律性とは何か、と、論じるような地平ではない・・・。ちょっと妬いているのだろうか、わたしは。センセイに。

1月15日(火) 晴れ

このところ買った本。ハンター『魔弾』(新潮文庫、450円)、坪内祐三『文学を探せ』(文芸春秋、840円)MICにて、切通理作『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書、450円)、『Dreamweaver&Fireworks Webデザインテクニック』(毎日コミニュケーションズ、980円)、『尾崎豊 ベストセレクション』(東京音楽書院、300円)

無意味のような生き方 金のためじゃなく 夢のため 愛のため そんなものにかけてみるさ (尾崎豊『街の風景』より)

1月21日(月) 

センター試験が終わった。問題を解く閑もなく、成績処理に追われる日々だ。昨日は五反田A社を6年ぶりに訪問。

最近買った本。S・ハンター『The Day before Midnight』(Bantam)をアマゾンで。新潮文庫の邦訳が1989年の初版以来品切れだったのでしかたなく、というか、これで英語の速読の勉強でもしようと、殊勝な目的で買ったのだが、これがまた難しい。やはりわたしの英語力では、本格的な冒険小説を楽しむのは無理だと悟った。ところが、たまたま今日ネットで、『真夜中のデッド・リミット(上)(下)』(新潮文庫、1296円)の復刊を知り、あたふたと邦訳本を買った。他にも『クルドの暗殺者』も復刊されたようだ。

他に、奥野健男『日本文学史』(中公新書、200円)、内山昭『計算機歴史物語』(岩波新書、180円)。内山氏は長年IBMに勤めたひとと聞く。Pascalの計算器の技術的な詳細が載っていたので買った。

日経日曜文化面は清水徹のエッセイ。東大仏文の仏蘭西詩研究の泰斗、鈴木信太郎の書痴ぶりについてエピソードを披瀝する。歴程賞受賞の『書物について』の著者ならではのエッセイだった。

1月26日(土) 曇り データ処理の深淵 或いはE氏との一夜

今夜は雪になるという。ああ雪よ、雪が恋しい、などと書くと雪国のひとに顰蹙をかいそうだが、本音だからしょうがない。汚れたからだ、汚れたこころ、疲れ果てたこころとからだのうえに雪よ降り積もれ。もう5年も前か、ちょうど今頃の時分、東京が大雪に見舞われた夜があった。バスも自転車も使えないので、東中野経由で地下鉄を乗り継いで帰った夜、ふきさらしの練馬駅のプラットフォームで聴いた尾崎豊の『街の風景』に泣いた。

無意味のような生き方 金のためじゃなく 夢のため 愛のため そんなものにかけてみるさ

連日連夜のしごとに心もからだも疲弊してしまった。今朝は久しぶりに『ほんまもん』をまとめて観て、泣いたり笑ったり、登場人物の喜怒哀楽にこころを通わせた。

データプロセシングとは孤独な営みだ。プログラミングもそうなのだろう。バグのないプログラムと素人は気楽にいうが、バグのないプログラムなんてほんとは存在しないのだろう、たぶん、なぜならプログラミングとは世界そのものなのだから。純粋な100cmという長さは現実にはない。およそ100cm、約100cmは存在しても。純粋なアルゴリズムは理念としては存在しても、現実のプログラムは現実世界を吸い込まねばならぬ。特に昨今のように、サーバからクライアントのブラウザに至るまでが蜘蛛の巣のように張りめぐらされたネットワーク上のプログラミングに至っては、たった一カ所の問題の所在を特定するだけでも優秀なプログラマが一晩も二晩も徹夜することだってざらではないのだろう。

データ処理もそうだ。誤りのないデータ処理とひとは気楽にいうが、それはデータ処理の深淵を覗いたことがないからだ。バグのないプログラムというのが理念にすぎないように、誤りのないデータプロセシングというのも存在しない、なぜならデータは現実世界と深くかかわっており、さまざまな汚れをひきうけなければいけないから。汚れをひきうけるとは実存的に世界を受け入れる営みそのものなのだから。

そんな汚濁の世にあって、小さいプログラム・小さいユーティリティに救われる思いがする。この1週間、小さいユーティリティになんども救われた。プログラマの思いがこもっている、いわば道ばたに咲く可憐な野草であった。たとえば有限会社ファブリスのCSV Pick。そこそこのデータ処理会社2社が躓いた簡単なテキスト整形を高速に寡黙に正確にこなしてくれた。ここに謝意を表する。 たとえばアチコチメールがあった。特定の(1対1対応の)URLや相手先の名前をうめこんだメールを数百カ所に一斉送信してくれた。たとえばSedの一行のスクリプトがあった。たちどころに数百の指定したテキストファイルを生成した。MS-DOSのバッチがあった・・・。乱数でこさえたディレクトリに指定のファイルをコピーしてくれた。毎度お世話になっているFFFTPはいうまでもない。これら小さな清らかな悦びのおかげで、なんとかつらい仕事も乗り越えつつあるといえようか。

このところ買った本、Harry Potter and the Chamber of Secret。息子にせがまれて買った。どうせ読めないだろうが、まあ洋書という存在を教えるだけでもいいだろうと、Amazonで買った。Amazonからはホーキング博士の本がまだ届かない。『真夜中のデッド・リミット』読了。やたらと人が死ぬのがどうも・・・。

1月30日(水) 晴れ

やっとこさ、Hawking博士の『胡桃のなかの宇宙(The Universe in a Nutshell)』 が届いた。先日、ハンターの冒険小説に早々挫折したばかりだが、これなら努力すれば読めそうだ。ハンターは努力しても読めなかったが(泣)。邦訳は2,500円ほどなのにたいして、原書は美麗で堅牢な本ではあるが約3,100円と高い。ちなみにe-Books版の邦訳はデジタル本だが1,200円程度ときわめて安い。原書を読むならば、いっそ電子辞書(例 ロボワード)の使えるデジタル本のほうが便利かも、と最近思っている。デジタル本を敢えて買ってもいいと思っているのは、高価なコンピュータ関連の専門書・(電子辞書の使える)洋書・入手困難な本、ということになるのだろうが、積極的にデジタル本を買っているわけではない。これから書籍はどこにいくのだろうかと、思いをはせなくもない。

26日には銀座で同窓会。みぞれの降るなか三十余名が集まって、狭い会場はおじさんたちの熱気むんむんであった。

上島建吉編『コウルリッジ詩集』(岩波文庫、660円)。好評の対訳シリーズの新刊である。巻末の評伝を読んだところ。高校生のころからずっと気になっている詩人である。イギリスロマン派の詩人にはどこか好感がもてる。いっぽう、新田たつお『静かなるドン』愛蔵版第5巻(実業之日本社)。K君ご恵送の本の1冊で、新田たつおにちとはまってしまった。

1月31日(木) 晴れ

怒濤の1月が終わろうとしている。やれやれといった感じである。携帯を切って温泉にでも泊まりたい気分だ。

久世光彦『月がとっても青いから』(文芸春秋、800円)は外口書店にて。荷風全集(旧版)の揃いがあったが、値段が決まっていなかった。マークしよう。

『胡桃のなかの宇宙』をぼちぼち読む日々・・・。

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