7月2日(月) 晴れ

大手優良企業から引き合いの多いWBT(Web Based Training)サイトのリニューアル及び利用ガイドのパンフレット制作・利用ガイドHP、FAQのHPなどの制作が一段落した。今週も、受講者のサポート業務、某地方都市への日帰り出張など繁忙である。

松浦理英子「おぼれる人生相談」(角川文庫、580円)を読んだ。若いひとの人生相談に恋愛にまつわる悩みが多いのはもちろんだが、家族との葛藤・友人関係の悩みも多い。誠実に、オーソドックスな解決法を、理詰めで提案する松浦さんだ。1958年生まれ、青山学院出身だというから、数十年前渋谷の宮益坂あたりですれ違ってるかもしれない、ハハハ。

他に、ハウプトマン「ソアーナの異教徒」(岩波文庫)300円。鹿島茂「オン・セックス」(飛鳥新社)1350円。

今週のちゅらさんからも眼が離せない。傷心の小浜島ジャーニー、追っかけていった文也の、想い出の樹のしたでの求愛と、続くはず。今朝は、誠と琉美子の結婚にびっくり仰天。

7月5日(木) 晴れ

南国の真夏のように熱い日が続いている。じりじりと灼けるようだ。

昨日、茨城県某市の某巨大企業にふみこんで、あらたなビジネスモデルの展望を得た。といっても難しいことずくめだ。名付けて「トロイの木馬」プロジェクト、あるいは「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とでもいっておこう。

明石海人という歌人をご存じだろうか?わたしは不明にして今夜Yahoo!の記事で初めて知ったのだった。たとえばこのHP。そう、1901年に生まれたということだから、ことし生誕100年を迎える夭折の歌人である。ハンセン氏病。病への偏見がいかにひとを残虐にするか、そのことの歴史的証左として、たとえば明石海人、たとえば北条民雄の営為をみつめてゆく必要があるのだろう。お二人の本名は未だに明かされていない。

高校生向けの教科書「新日本史B」「新世界史B」(山川出版社)1620円。H社の歴史教科書を意識なんぞしていない。(そんなに生臭くないぞ) 素朴に歴史を勉強し直そうというもくろみで買った。この暑い日に、大久保の教科書販売会社まで買いにいってくれたNさんに感謝します。(用事のついでに頼んだんです、わざわざ買いにいってもらったんじゃないですけど)

7月8日(日) 晴れ

昨日、七夕の日。ちゅらさん主人公ふたりの13年越しの愛が成就した。よかったね、恵里ぃ(笑)映像美に舌を巻いた。テレビドラマにしてはカメラワークがちょっと凝っていて、面白いと思う。カメラワークというのは、語り手や主人公の心的世界を描く技法なのだと、改めて思う次第。ツタヤからは、"6th Day"。緊迫したアクション映画を期待していたが、意外とドタバタ映画であった。(以下ネタばれ注意) 主人公シュワルツエネガーの分身(クローン)と、ともに手を取り合って家族を救う。存在してはならぬ故分身は滅びなくてはならぬのか、ああ可哀想と思って観ていたら、最後はハッピイエンドで、クローンのほうは長い旅に出る。映画ブレードランナーの最後のように、救いなき近未来のなかで生き続けるクローンに希望を託しているかのようだ。

今朝の日経書評欄。田辺聖子「姥ざかり花の旅笠」(集英社、1700円)。病の後奇跡的な回復を遂げた大庭みな子は「ヤダーシュカ ミーチャ」(講談社 2300円)おふたりとも母と同じ世代である。だからいつまでも元気で活躍して欲しい。(ちゅらさんの平良とみさんもそう)

松浦寿輝「巴」(新書館 1800円)、「数々の映画論をものした著者ならではの骨太のメタフィクションの快作」(鈴木和成氏評)。堀江敏幸「回送電車」(中央公論社、1900円)「出来事の中心に踏み込むのをあえて避けるかのような「間の抜けたダンディズム」が味わい深い」。池内紀「日本の森を歩く」(山と渓谷社 1800円)。

レイ・カーツワイル「スピリチュアル・マシーン」(翔泳社 2800円)近未来のコンピュータの驚異的進歩の予測。R・ローウェンスタイン「天才たちの誤算」(日本経済新聞社 2200円)は金融工学に身を投じた天才数学者ふたりの挫折を描く。

東海林さだお「トンカツの丸かじり」(朝日新聞社、150円)、堀江敏幸「郊外へ」(白水社、200円)、丸谷才一「忠臣蔵とは何か」(講談社、0円)

7月11日(水) 晴れ

朝、快晴の空がひろがっている。今日も暑くなりそうだ。汗だくになって会社にゆき、細々とした面倒なしごとをやり、ひとと会い、打ち合わせし、難しいことをすこし考え、電話で交渉し、メールをたくさん書く・・・。いささか人生に疲れた今日この頃、人生の夏バテといっては皆にからかわれる。朝、ちゅらさんをみる。主人公恵里。父と母、おばあ、兄さん。婚約者(文也君)、東京から駆けつけた真理亜。高校時代の親友と、主人公を好きだった青年のふたりのカップル。近所のひとのいい青年(島袋さん)。実家にひとが大勢集まることって、成人になるとめったにないことだ。それでも若いうちは婚約・結婚と祝い事で集まることもあろうが、月日が過ぎて、それぞれ結婚し、子供もできると、集まることもままならない。朝から少し感傷に浸ってしまった。

中高時代の友人高崎浩幸君の書評を掲示板に転載させていただいた。西研「哲学的思考」(筑摩書房 2001)。

7月16日(月) 晴れ

相変わらずの爛々とした日差し、猛暑である。朝方、通勤途中、自転車がパンクして、悲しいかな自転車を引きずって職場まで歩いた。途中、善福寺池のいわれである善福寺というお寺の前を過ぎたりして、これはある意味では、正路を失った不良中年にふさわしい寄り道だったのであるが。ついてないときこそ、道ばたの菫の美しさが目に沁みるということもある。ままよ、と悠然と遅刻した。

かねたくさんのお薦め、岡崎武志「古本でお散歩」(ちくま文庫、780円)。ねっからの古本病患者である私は、意外にもこの手の本は買わない。これ以上病気を進行させたくないということであるが、あっという間に買ってしまうのは、根が好き者だからだ。

(「はて、最初に古本屋で本を買ったのはいつの日だろう?」と、ふと気になったので調べてみた。古い読書手帖を調べてみると、おそらく昭和48年1月13日に郷里鹿児島で買った堀口大學訳詩集「月下の一群」(新潮文庫)あたりであろうか。以来、26年の月日が過ぎたことになる、ああ。)

突然だが、ここに、或る都市における古書店の数≒大学の数×A (Aは比例定数)という仮説を立ててみた。鹿児島市の繁華街の古書店の数も、開発の波におされてどんどん減っていった。デパート山形屋前にあったせんば書房。天文館通の先にあった孝文堂書店?。ともに今はない。糸書店は健在だろうか?こんど帰郷のときに訪ねてみよう。

岡崎さんの本、古本好きなら溜飲を下げるに違いない名(迷)文句が随所にちりばめられていて、けっこう楽しめる。圧巻は、「古本は中央線に乗って」。当然のことながら、単なる古本屋マップを超えて、中央線文化を側面から語る楽しい読み物になっている。(昔、高円寺だったかにブランショにちなんだに違いない「AMINADAB」という輸入盤レコード屋があった。ひとことでいえば、そういう文化) なんといっても不明を恥じたのは、絶版文庫の専門店「火守文庫」が、じつは職場のすぐそばだったこと。五日市街道と中央線が斜めに交差する地点のガード下といえば、吉祥寺ではやや辺鄙な場所になる。職場から駅とは反対方向に徒歩6分位か?以前、ネットの掲示板で吉祥寺に絶版文庫の専門店があると読んだことがあって気にはなっていたが、こんな近くにあるとは知らなんだ。この他、高円寺・西荻窪の古書店に関する詳しい文、共感すること大であった。

企業向けWBTの受講者のサポートに追われる日々。実は本はほとんど読んでない・・・。

7月18日(水) 晴れ

・昨日は炎天下、職場近くの「火守文庫」探索。徒歩4分。目録・即売会の営業に特化しているようでシャッターは下りたまま。しかし引き続き注視していこう。

・映画「グリーン・デスティニィ」。ワイヤー・アクションによるカンフーが大仰との意見もあるようだが、老荘思想(道教)の末裔のことだ、水面を走ろうが竹林のうえで戦おうが、わたしには当たり前のように素朴に楽しめる。清代の中国の風俗と文化も楽しい。

・現代の詩人7「茨木のり子」(中央公論社、300円)、「鈴木敏文・語録 まず「仮説」と「検証」」(祥伝社、200円)。

7月20日(金) 曇り 海の日にちなんで

自分の身のまわりを海に取り囲まれたことのない人は、世界という概念も、世界と自分の関係も、理解することはできない。(ゲーテ イタリア紀行)

桟橋から船に移る時、舟から舟へ渡る時、自分が乗っているボゥトが揺れる場合ですら、すぐ眼下にうねっている灰緑色の海は「落ちても知らんぞ」と云う。この冷酷さは然し海の好意なのだ。海は、われわれに、われわれが守られていない存在だということを気付かせる。このわれわれを救うのは、防備なき状態を「開かれた世界」へ反転する以外にない、と海は教えている。「開かれた世界」とは心情の世界のことである。このまことの共同の広場を忘れ、われわれは余りにも外界支配、対象化、製作、計画等々に打ちこんできた。心の海洋に十七世紀型の帆船を浮べ、あの両側に水掻き車のついた汽船を走らせるのは、詩人と芸術家のつとめでなければならない。(稲垣足穂 海と「存在」)

サンゴ礁の海に一度は潜ってみなければ、その人の一生は、その分だけ貧しくなると私は思っている。(本川達雄 サンゴ礁の生物たち〜共生と適応の生物学)

7月22日(日) 晴れ 続・海の日にちなんで

20日の「ちゅらさん」第1週放映分の総集編。八重山諸島のなかの小さい島、小浜島。わたしも、石垣島から西表島に向かう高速艇のなかで、3年前の今頃、島影を見たっけ。その島にすむ少女と東京からきた兄弟との邂逅。「ちゅらさん」マニアの間ではとうからお待ちかねの未放映分を含む総集編だ。仕事から疲れて帰り、深夜これを観た。涙が零れてとまらなかった。号泣すらした。わたしの細胞ひとつひとつの原形質が、懐かしい懐かしいと泣いているのだった。これはどうしたことだろう。例えば映画では、成島東一郎「青幻記」(沖永良部島)、「ナビィの恋」(島は不明)。散文で云えば、田中光二「オリンポスの黄昏」(波照間島)、岡谷公二「南の精神誌」。深いノスタルジーに打ちのめされて・・・。

小泉修「図解でわかるインターネットのすべて」(日本実業出版社、2500円)。

7月26日(木) 晴れ 寿ウィーク

寿ウィークといっても、ちゅらさん観ていないひとにはちんぷんかんぷんだと思う。ちゅらさんの今週の話題である。

職場では、普段は雑談はしない私だが、今朝はパートのKさんと話があった。そう、今朝のちゅらさん、恵里の結婚式の日だ。あいにくと食中毒の患者がぞくぞくと病院に運び込まれて、新郎新婦(医者と看護婦)ともに式の直前まで看護にあたる羽目になった日のいきさつ。ああ、恵里ちゃんのウェディング・ドレス、ほんとに可愛かったねえ、とふたりでため息をついたのだった。

少年の日、近所の優しいお姉さんの花嫁姿を、遠目で見遣りながら、泣いたのは私だ(ウソ)。今や、ウェディングドレス姿の国仲涼子ちゃんに、親父のような立場で感慨にふけったり、その美しさに話がはずんだりする自分である。人生、生きていると、いろいろと、重層的に楽しめるようになるということだ。そういえば、私は職場の後輩の結婚式(披露宴)で、すでに人妻になった元教え子(友人代表できてた)と15年ぶりに再会したことがある。目黒の某ホテルで。そのとき、記念にツーショットで写真を撮ったのだが、恥ずかしくて現像しないままになっている。

金井直「青ざめた花」(国文社、100円)、中沢新一「ケルビムのぶどう酒」(河出書房新社、300円)はよみた屋にて。

7月29日(日) 晴れ 姉の力

先日のちゅらさんの内容。東京で結婚式と披露宴を無事終えた恵里が、母親の希望〜沖縄で琉球式の結婚式を挙げてほしい〜を聞くに及んで、新郎の母の賛成もあって急遽沖縄に帰省して実家で式を挙げることにする。羽田空港で旅立つ前の恵里からあらましを聞いたおばあ(平良とみ)は、「緊急事態さあ」と友達に電話をかけまくる。琉式の花嫁花婿の衣装の気付けのプロ。祝い料理のプロ、などのおばあ軍団がすわと参集する。男達は、障子をとっぱずしたり、泡盛飲んだり、三線を引いたりするくらいしか能がない。そうして男どもがあたふたする間に、きびきびとしたおばあ軍団の活躍のお陰で、見事にいつもの居間は琉式結婚式兼披露宴の会場と化したのだった。披露宴の御馳走のなかみまで画面でははっきりとわからないが、みたところ野菜の煮染めや魚の煮付けなどつましいのも好ましい。沖縄の婚姻儀礼の有り様をドラマ仕立てで観ることができてうれしかった。

ちゅらさんサウンドトラックCD(ビクター、3045円)、森茉莉「ベスト・オブ・ドッキリチャンネル(中野翠編)」(ちくま文庫、400円)、上野圭一「ナチュラルハイ」(ちくま文庫、350円)、芝木好子「隅田川暮色」(文芸春秋、350円)、「東京人」2000年2月号〜特集神田神保町の歩き方(450円)などを買っておいた。

 

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